逗子から石垣に行く道すがら、徳島の山間部に住む友人を訪ねました。
棚田の美しい神山町・江田地区。
神山町の民家は正面の深い軒下が特徴で、しかも柱が両端(もしくは片側のみ)にあるだけ、中央部分には柱がなく、瓦葺きの屋根にも関わらずとても軽やかです。ここに「一脚」と呼ばれる大きめの縁台を置いて、一服の場とされるのだそうです。のびやかな場所ですね。
徳島県・神山町は地方創生でとても有名な町です。アーティスト・イン・レジデンス事業や空き家活用のマッチング事業、地場の食材を使った食堂経営、整備された光ファイバー網を武器にしたIT企業誘致…。俄か知識では網羅できないほどの沢山の活動が有機的に繋がり広がって、移住希望者の絶えない町となっているそうです。
神山のIT企業オフィスの代表格「えんがわオフィス」さん。築80年の古民家を改修したガラス張りのオフィス。
東京と徳島の二拠点で経営されていて、スタッフの方々は希望の勤務地を自分で選びます。リモートワークでも打合せや意思疎通を容易に出来るようにシステムを組んでいるので、一つのプロジェクトチームの中に東京スタッフと徳島スタッフが混在することもあるそうです。
建築設計でも、図面や動画などのデータ共有により遠隔でのチーム作業は可能になってきています。差し当たりリモートで共有が難しいのは模型などの立体物でしょうか。それもいずれホログラムディスプレイ技術などによって共有可能になるかも知れません。
それでも効率化一本では語り切れないのがリアルな建築の面白いところ。敷地を見て、場所の気候風土を知る。職人さんと膝を突き合わせて知恵を出し合う。現場で仕上がりを目で見て確認する。そんなアナログな行為の積み重ねが建物のクオリティを決めると信じながら、日々の現場監理に勤しんでいます。