沖縄の設計事務所/建設会社です
http://www.kougei-arch.jp/index.html
@日光の古民家改修 打ち合わせ

・・打ち合わせ の途中 蔵の中から 大正時代 の外套が見つかりました。

この古民家は、現在の町並みの中でも異彩を放っており、竣工当初は、見事な出来栄えだっただろうと思われます。


持ち主のご夫婦は遠方に住んでみえて、今は物置となっているこのお宅を改修することになりました。


現在ではなかなか出来ないような手の込んだ細工の数々、見事な左官の壁などをなるべく残しつつ、アメリカから帰国される息子さんが暮らしやすいように整えていきます。


以前改修をお手伝いさせて頂いた石徹白の平野夫妻のお宅の工事での経験と、個人的に師事させて頂いている 岐阜の安田建設工業の「竹中スーパー監督」の助言を頼りに、日光の施工業者さんとの密接なやりとりで進めていきます。


リフォームの場合は、既存の上に計画案を重ねていきます。


新築は、何もない更地に計画案を1から作るため、指示は図面だけで済みますが、リフォームの場合は 場合分けが多岐にわたり複雑です。


既存を:残す/清掃する/修復する/撤去する または 新規で加える と 5つのオプションを組み合わせ、それを見積もり、設計に反映しなくてはなりません。


今回のようにディテールの細かい、精妙な既存となると既存図を描くのも大変な手間です。


そこで今回は写真に指示を描いて指示書としていくことにします。

写真の指示を 設計・施工の共有資料として、見積もりと必要に応じて施工図を作成し、不明な点は職人さんと打ち合わせながら進めていきたいと思っています。


人一倍 飽きっぽい私のこと、昨年までの住宅の設計では、デザインのコピペが多かったので、さすがに飽きて、興味を失いつつありましたが、今回は難易度も十分。最後まで楽しめそうです。


竹中師匠 またご指導の程 よろしくお願い致します。

- comments(0) trackbacks(0)
設計事務所にマネージャーは必要か?

「ダンサー・コレオグラファーの私の仕事の9割は、書類作成(マネジメント)なのです、創造に使える時間は1割のみです」


(アメリカの革命的なダンサー・コレオグラファー Merce Cunningham の言葉)


アートやデザインに関わる他の職業と同じく、建築設計事務所においても、マネジメントとデザイナーの利害は相反する場合が多くあります。


デザイナーは、良い作品を作ることが目的です。


デザイナーにとっては、生活の心配をせずに、自分の納得できるレベルのデザインを追求することが喜びです。商才に長けたデザイナーも居ますが、基本的にデザイナーは「いい仕事が出来れば、金は2の次」と考えています。


企業経営者は、お金を儲けることが目的です。


「有能なデザイナーを なるべく長時間、安い賃金で働かせ、利潤を上げたい」というのが本音です。


顧客には「デザイン料を頂く分以上に付加価値を上げます!」と言いつつ、スタッフには「金じゃないだろ」などと嘯くダブル・スタンダードも問題といえば問題ですが、もっと構造的な問題があります。


それは、建築設計事務所の中で、最終の決定権を持つのは、経営者か?デザイナーか? という点です。


経営は、会社の中で最もマネジメント能力の高い人が担当しますが、建築設計事務所のスタッフというものは「金は2の次」の人たちです、「商才に長けた人」は尊敬されず、スタッフのモチベーションを上げることが出来ない という事態が起こります。


では、どういう人物がスタッフから尊敬され、モチベーションを上げるかというと、デザイナーとして優れた人、未来をデザインで切り開く能力のある人です。「今、ここで、未来が形になるのを手伝っている」という思いがあれば、薄給や長時間労働でもスタッフは文句を言いません。


通常この二つの能力を両立させた建築事務所が成功するのですが、どちらかに偏りはあります。


隔たりが著しいと、有名なのに倒産したり、あるいは、建築的に価値の少ない建物を大量生産したり、ということが起こります。


マネジメントが弱いと、売れるものも売れませんし、マネジメントが強過ぎ、戦略的に動き過ぎて、却って評判を下げてしまう、などということが起こります。策士が策に溺れる というやつです。


無から有を創りだすこの種の業種では、危機は、外からではなく内側から、自分が頼みとしている能力が逆向きに働く形で起こる、ものなのかもしれません。


理想は、スタジオ・ジブリのように、何を造るかを考える人と、どう売るかを考える人が、両輪のように支え合う体制が最も望ましいのかもしれません。


これは、意外とむつかしい事だと思います。


マネージャーは、マネジメントに精通しつつも、デザイナーの意図について完全に理解していなくてはなりません。完全に理解した上で、取り込まれることなく、金銭に換算しなくてはなりません。


もの造りをサポートしながら、ものを造る 以外の仕事を担当する マネジメントという仕事のモチベーションは何なのか、マネジメント能力のほぼ無い私には解るはずもないのでしょう。



- comments(0) trackbacks(0)
| 1/1 |