今週感銘を受けた読書2冊。
インフォーマル/セシルバルモンド著
構造設計界のスーパースター セシル・バルモンドの構造設計の過程を日記風に綴ったもの。
90年代から、構造の冒険=現代建築になりました。
エポックメーキングな建築物のほとんどをセシル・バルモンド と サンティアゴ・カラトラヴァ(建築家・構造家・彫刻家を兼ね備えている)が関わっていることを考えると、潮流に乗ったというより、彼ら自身が潮流を作り出したと言える。
建築史家 チャールズ・ジェンクスによる序文が秀逸。
建築の世界で革命的に、あるいは非常に速い速度で革命が起こるときはいつも、専門分野の間に立ちはだかる障壁が崩れ去り、分野間における職業的役割の交換が起こる。建築家は彫刻家となり、エンジニアはデザイナーとなり、アーティストは建築家となり、職能ごとのカバーする範囲はあいまいになる。
このような状況はルネサンス初期、フィレンツェ大聖堂のドーム建設に際してギベルティが金細工師から彫刻家に、ブルネレスキがアーティストから建築家に、それぞれが職業を変えたときにも見受けられた。
アバンギャルドが何度も再構成された19、20世紀にも、同じことが起きた。
エッフェルとタトリン、デュシャンとル・コルビュジェのときもそうだったように、それは前衛的なものを測る際のよい指標であると言える。
もしそれぞれの専門がもつ既存の職能の範囲や労働組織を手放すことができなければ職業間の境界が取り払えず、前衛性や新しい創造性は生まれない。
2冊目は、60年代に活躍した建売住宅のディベロッパー ジョセフ・アイクラーの作品集
ライトの住宅に触発されたという住宅群は、西海岸の住宅のひとつのプロトタイプを造り出している。