沖縄の設計事務所/建設会社です
http://www.kougei-arch.jp/index.html
滋賀県のバッキー・フラー
宮内寿和さんにお会いしました。
 
宮内さんは、木を水に漬けてから乾燥する「水中乾燥」と柱を2本の梁で挟む「挟み梁工法」で有名な滋賀の大工さんです。

http://miyauchi-kenchiku.jp/


23日午後に事務所に到着し、レクチャー→現場見学→レクチャー 翌24日 水中乾燥の現場見学



タイトながら効率の良いスケジュールでした。
 
石場建て 水中乾燥 挟み梁工法 総手刻み 一つ一つ取り上げれば、それだけで論争を引き起こしそうな、渦中のテーマながら、宮内さんの手にかかると、何の気なしに建っているようなさらりとした建築になっています。
 
これは、ひとつのエコシステムの提案なのでした。
 
建築家 というよりは、流通、工法、エネルギー、幾何学、経済、農学・・・ 知識を横断しながら革命的な発明を連発した バックミンスター・フラーみたいな人
 
ただ、日本の伝統的大工術に軸足を置いているところがフラーとは異なる。
 
・契約時に施主に木を一軒分購入してもらう → 林業の収入確保 → 山林の荒廃を防ぐ
・その木を水に漬ける(1年間) 乾燥させる(1年間) 建築する(1年間) 超スローペースで建築し、住宅への愛着はとても強くなる。実際に長持ちするから、住宅の寿命が延びる。
・水中乾燥することにより、自然乾燥の弱点の含水率を大幅に下げる。
・自然乾燥することで、見事な肌の仕上げ材
・挟み梁工法により、木造住宅の弱点の柱の欠損をなくす。(見た目は伝統工法ながら、実際は接合部が剛となるラーメン構造)
・手刻みは、挟み梁工法をプレカットできるまでの一過程。
・仕口を統一、材を統一することで、加工手間を大幅にカットし、材のストックのリスクを最少にする(105角だけをストックすればよい) また、間伐材だけで建築できる。
・林業の育成にマイナスとなる合板は使用しない。
・土に還らない材料は極力使用しない。
 
未だそれほど有名ではないものの、この工法は、僕が住宅設計を始めてから見て来たいかなる工法よりも真正かつ建築的なものでした。
 
材料・工法・意匠を一度に解決しています。
 
柱を挟む梁は、柱を貫く貫(ぬき)を反転した存在。美学的にも完成された工法なのでした。
 
 
 
それにしても宮内さん、こわもての熱血漢、というのは意識的に作っているキャラのようです。
 
実際は、話しているだけで暖かさに包まれるような、柔軟で頭の切れる方でした、天才の一つの型だと思います。
 
土曜の夜は事務所のシアタールーム?で建築への熱い思いを語って下さいました。
 
もっとも尊敬する建築家は、バラガン。(ソーク研究所の中庭に緑を植えないようカーンにアドバイスしたのが、バラガンだったとは!)
 
もっとも好きな建築家は、レンゾ・ピアノ。
 
レンゾ・ピアノはテクトニック系建築家の最高峰です。 宮内さんがほれ込むのも無理は無いのでした。
 
最後に建築関係者に一言 「外車買う金があったら、木を買え!」 
 
宮内さんのお車はカローラでした。天才のみが許される贅沢。
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一年に一度の杉下さん
今週は杉下均さんにお会いしに行きます・・・ 久々の建築談義です。

建築はあまりに面白いがために、建築すること自体が目的になる、危険があります。
 
施主も、金も、名誉も、愛や友情ですら忘れた状態 市電に轢かれたとき乞食にしか見えなかったガウディがいい例です。

杉下さんは、全てを投げ打って建築に打ち込んで見える建築家にはめずらしく、健全な常識人でもあります。

しばらく前から、頭の中で暖めてきた建築が、説明できるレベルになってきました。

思案中のテーマのひとつ

「比重の違う2本の懸垂線に囲まれた空間」

まあ、そんな建築です。そのうち写真も載せられるかしら・・・

知識が実力に先行している建築家には魅力がありませんが

建築は知識の体系でもあり、知らずに偶然出来るようなものではありません。
 
建築を独学で修めた安藤忠雄は、ものすごい読書家であることはあまり知られていません。

こ難しいことを言わないだけで、知らないわけではないのです。
 
建物には設計者の人格の全てが反映されます。

杉下さんの批評や如何に・・
 
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