市場の建築 19世紀の近代の象徴
2020.08.06 Thursday 13:50
新規の計画を考える中で、スペイン在住時代に好きだった市場の建築を思い出しました。
19世紀の産業革命を経て、建築のテーマは王侯貴族や教会から庶民に移ります。
技術革新から工法も刷新され鋳鉄の採用で大空間を軽やかに造ることが出来るようになりました。
建築の役割は、社会の秩序を人々の目に見える形に保つことで、「持続」が大切です。
新しい時代の建築は、それまでの時代の建物のなかからテーマが似た型を真似ます。19世紀の新時代の流通の象徴だった 駅舎や市場の建築が それまでの寺院建築を真似たのは偶然ではありません。壮大な近代の流通が王権や神に代わった というわけです。
効率化・工業化による、「選択と集中」が都市を造った20世紀の発展の原理でしたが、新型コロナウィルスにより人の密集にリスクとコストが加算されることになりました。
一方で、私が好きだったマドリッドのサン・ミゲル市場は、他の市場のような神殿的神々しさは無く、都心の一角に小ぢんまりと収まった市場で、市民に愛され、周囲を小さな広場とカフェに囲まれた活気ある可愛らしいランドマークでした。
ポストコロナ・・というよりは、ポスト近代。
不特定多数から特定多数へ の流れの先にこんな光景がよく見られるようになればと思っています。
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